早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。ご質問、ご要望、ご連絡は記事へのコメント(非公開設定です)にお願いします。

Reading responseとは

今回は、授業の宿題として出る課題の一つ、reading responseについて書きたいと思います。日本語訳すると読書感想文、、となりそうですが、どのようなものなのか、何を書くのか、苦労すること、ためになること、などについて僕の感じたことを書きたいと思います。

今学期、宗教&SFのセミナーで3つのreading responseの課題が出ました。どれも約3ページ、800語くらいで、授業で扱ったSFの本から好きな本を選び、それについて書きます。本の感想を書くわけではありません。何かしら主張(thesis)を決め、それを支持する論理的な文を書きます。教授からは、宗教に何か関係あることについて書けとしか言われていなく、最初は本当に何もわかりませんでした。

Googleで調べ、reading responseは読書感想文とは違うということを知りましたが、何かしら主張を決めると言われても…という感じで、よくわかりませんでした。でも2枚目、3枚目になると、興味深く、かつ論証可能な主張を見つけられるようになったと思います。
具体的には、1枚目(A Canticle for Leibowitz)では物語中での核兵器の役割から見られる筆者の2つの核への視点、2枚目は神々が主役の本(The Divine Invasion)を選び、その中での人間の登場人物の役割の重要性について、3枚目は主人公が旅をする中で仲間を集め新宗教を立ち上げようとする話(Parable of the Sower)を選び、なぜ人々が彼女の仲間になるのかについて、書きました。

1枚目は本の内容だけでは確実には主張できない、筆者の考えというものをテーマにしてしまった点が良くなかったように思います。根拠が不十分になってしまいました。2,3枚目は本の中だけで完結するテーマにしたので、必要な作業は本の中から根拠として適切になる例を探し、それをうまく並べて論理的にわかりやすく書くことでした。

苦労する点としては、テーマ選びと、文章の書き方が挙げられます。本の中だけで完結し、宗教に関係しており、論証できそうなレベルで、証拠も十分見つけられそうで、面白そうなテーマというのはすぐには思いつきません。僕はテーマを考えるときは、本を読んだ時に取ったメモやその本を扱った時の授業ノートを見返して、面白そうなポイントを挙げていき、そこからbrainstormして良い感じのテーマを決めました。文章を書いていく中で、テーマが少し変わったりより具体的になったりもしました。

文章の書き方というのは、いかに論理的にわかりやすく書くかということです。英語の場合、イントロダクションでこのエッセイは何についてどのように主張するのかを書き、その後の文章がそれに沿って一直線に結論まで繋がる必要があります。いくつかあるポイントをどの順番で主張すれば一番良いかをまず考える必要があります。その上で、各パラグラフでも、文章中の例、そこから言えること、考えられること、結論をどの順番で言えば良いかを考えます。

他にも、イントロダクションには読者の気をひくような文を、パラグラフの最初の一文はそのパラグラフが何を言っているのかを端的に表すものである必要がある、コンクルージョンではさらに大きな問いに繋がるような締めを入れられると良い、参考文献(citation)はしっかりと、など色々なルールがあります。こう書くとTOEFLやSATのエッセイと同じようなものな気がしますが、根拠をしっかりと探さなければならないという点で異なります。そこが一番大変な点です。

この課題を通して、限られた情報の中から自分の主張に合う例、根拠を探し、それを論理的で説得力を持った文章にする力を伸ばせたと思います。一度良いテーマを決めてしまえば、それを擁護する例を文中から探すのは結構楽しい作業です。何十回も本を細部から読み返しているような感覚で、最初に読んだ時には気づかなかった設定や事実を見つけることもできます。と同時にとても時間のかかる作業でもあるので、一学期に3回くらいはちょうど良かったと思います。

また、教授が毎回細かいコメントやアドバイスをワードのコメント欄が埋め尽くされるくらい書いてフィードバックしてくれ、とても役に立ちました。それを元にwriting tutorと相談して、さらに改善すべき点を確認し、次に活かせました。1枚目は6/10点という評価(Cくらいでしょうか)でしたが、3枚目は9.2/10点という評価で、教授の優しさもありそうですが、嬉しかったです。

最近はニュースやブログの記事、本を読んでも、この情報は誰がどこで言ったものなのか、信用できるのか、こういう、主張と矛盾する情報も探せばあると思うがそこはどうなのか等と思ってしまい、これもreading responseの成果かなと感じます。このブログの文章力にどのくらい反映されているかはわかりませんが、これからもスーパーヒーローのことなど、主張文をたまには書いていきたいと思います!では!

↓reading responseの元に選んだ本