早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。ご質問、ご要望、ご連絡は記事へのコメント(非公開設定です)にお願いします。

4年生秋学期授業振り返り

最後の一年の前半が終わりました。今学期は久しぶりに筆記テストのある授業を受けると同時に、卒論も書き始め、12-15ページのファイナルペーパーも3枚あるラスト1週間でした。一年生の最初の頃は3ページのリーディングレスポンスに1週間かかっていたと思うと、4年生になったのかなと思います。振り返っていきたいと思います。

1. ANTH 300 Primate Behavior and Ecology
霊長類についてのレクチャースタイルの授業で、仮説を立て予想し実証するという科学のアプローチの基本から、進化論の様々な派生と最新の研究、各サルの分類と特徴などを学びました。Distributional requirementを満たすためにScienceに分類される授業をあと一つ履修する必要があったため受講しましたが、文系科目とは違うようで似ているアプローチの仕方、考え方もあり面白かったです。ニューヨークのブルックリン動物園へのクラストリップがあったり、毎回授業開始5分間は教授主導の瞑想の時間だったり、面白い授業でした。

2. ANTH 388 Politics of Culture in Southeast Asia
東南アジアの歴史文化について、政治形態、戦争、宗教、テクノロジー等様々な観点から議論するセミナーでした。この夏タイやカンボジアに行った際に目にしたことや感じたことの背景にある歴史を理解することができ、面白かったです。ファイナルペーパーはタイの移民の歴史を政府の政策との関連性の観点から分析しました。卒論にも役立つかなと思います。教授の成績のつけ方がすごく甘く、気が楽でしたが、きちんと各ペーパーに対してフィードバックもくれる良い人でした。

3. ER&M 407 Race and Capitalism
人種という概念の成立・浸透と資本主義は切っても切れない関係があるということを学びました。二つが相互に影響しあって浸透した歴史を、特にアメリカの奴隷制度や中華系移民差別に注目して学びました。何かと出てくるマルクスですが、きちんと学んだことがなかったので履修しました。課題図書は哲学的なものから歴史的なもの、小説、映画など多岐に渡り面白かったのですが、教授のセミナーでの議論ファシリテートの仕方があまり僕のスタイルと合っておらず、自分の理解を課題図書の読解以上に深められないこともありました。ファイナルペーパーは20世紀初頭の中国からアメリカへの移民が人種・資本主義による差別にどう反応したかについて書きました。

4. ER&M 491 The Senior Colloquium: Theoretical and Methodological Issues
卒論研究の各ステップを学ぶセミナーで、ER&M専攻の4年生全員が履修する授業です。学ぶことも目的ですが、それ以上に色々なテーマを持った同じ専攻の人たちのプロセスを見られること、卒論研究・執筆に必要なプロセスを締め切りを決めて課題として出すことで確実にステップを踏んでいけることが大きかったと思います。最終課題は卒論の先行研究分析パート(Literature review)を書きました。

5. PLSC 746 The Economics and Politics of Migration
初めて履修した大学院生用のセミナーでしたが、ほぼ全員学部生だったので課題図書が普通よりさらに多いことを除いては普段とあまり変わりませんでした。ただ、課題図書は多岐に渡り、政治から経済、文化人類学ととても学際的で、過去に履修してきた様々な授業が役立ちました。なぜ人は移民になるのか、受入国・送出国の政策、影響について様々な観点による理論、研究を学び議論することができ、卒論を書くベースになったと思います。毎授業学生がファシリテーターとなってその週の課題図書についての議論を進めるスタイルでしたが、ちょうど良いタイミングで教授が助け舟を出し追加の説明や質問をしてくれるのでとても理解が深まりました。ファイナルペーパーは上と同じ卒論の初めのパートです。

ということで、残すはあと一学期のみです。やり残し、学び残しがないよう最後の授業を決めていこうと思います。では皆さん良いお年を!