早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。ご質問、ご要望、ご連絡は記事へのコメント(非公開設定です)にお願いします。

YALEのヒミツ〜映画編

昨日ようやくMatrixシリーズの完結編をスイートメートたちと見ました。しかしYaleの中で映画を見られる場所はスイートだけではありません。Whitney Theaterという、120人くらい入るこじんまりとした劇場があり、毎日のように映画を上演しています。映画はどれも歴史上、文化上、研究上価値のある作品で、学生も地域の人も誰でも無料で観ることができます。

ということで、昨日は仲代達矢主演の『殺人狂時代』(1967年)を見てきました。
↓普通の大学の教師が突然殺し屋に狙われ、秘密組織との戦いに巻き込まれて行くと思ったら。。。という話です。
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仲代達矢さんが来ました。
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僕は正直あまり知らなかったのですが、黒澤明監督の作品にたくさん出演されたり、無名塾を創設されたりした方です。上映後には、日本映画を研究しているYaleの教授とのトークもあり、撮影の裏話や、役者哲学について聞くことができ面白かったです。

物語にはナチスの残党が敵役という重要な役どころで登場します。中国からの留学生の友達と一緒に見たのですが、戦後20数年にしてナチスについて描いていることに驚いていました。中国では毛沢東がしたことについては、今でも描くことはなかなか難しいそうです。思えば、仮面ライダー (1971年)の敵ショッカーもナチスの残党が結成した設定です。ゴジラが作られたのも戦後わずか9年のことでした。しかし、原水爆ナチスについて描いているのは、日本人がそういった戦時の悲惨な経験を忘れ、描いても問題がなくなったからではないと思います。逆に、いつの時代にも全ての日本人の心に残る負の歴史だからこそ、映画などの空想上の世界で描き、現実でないことの安心感と過去の記憶の恐怖を同時に感じるという手法が発達したのではないかと感じました。

今回の映画を見て、いかに自分が日本の映画について知らないかということがわかったので、冬に帰った時には仮面ライダーなどだけではなく、昭和の時代の映画もたくさん見たいと思います!では!