早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。ご質問、ご要望、ご連絡は記事へのコメント(非公開設定です)にお願いします。

2年生秋学期授業振り返り

早いものでもう一学期が終わってしまいました。ということで、毎学期恒例、各授業の振り返りをしたいと思います。

  • Anth303 Field Methods of Cultural Anthropology

面白さ4 教授4 大変さ4
履修人数20人弱のセミナー。毎週合計100ページ程度のリーディングと2ページ程のエッセイ。期末やファイナルペーパーはなく、ファイナルプレゼンテーションのみ。文化人類学者のフィールドワークに関連する様々なテーマについて毎週議論しました。インタビューの仕方、メモの取り方など具体的なものから、ethnographyとは、フィールドとは何か、文化人類学者の立ち位置は、といった抽象的な話題まで扱い、文化人類学という学問自体についてより理解することができたように思います。ただ、毎週出るエッセイの課題は、「インタビューして2ページのエッセイにせよ」「キンシップチャートと作成して2ページで説明せよ」などとても抽象的なものが多く、フィードバックもあまりなく、また毎週の授業でも教授の説明があまり上手でなく、総じて何かこれを学んだ、という具体的なものはない気がします。なので、期待していた、文化人類学のフィールドワークの具体的な仕方について学べたわけではなく、より抽象的な、文化人類学界におけるいくつかの結論の出ていない倫理的問題についてその存在を認知し現状の理解を深められる授業だったと思います。

  • CHNS154 Advanced Modern Chinese III

面白さ2 教授4 大変さ2
履修人数15人くらい。筆記テストが数回。過去の中国語のクラスと比べ圧倒的に履修人数が多く、履修者の多くは高校等で中国語を習い入ってきた1年生だったため、皆発言したがりな割に発音が悪く、残念でした。文法などの筆記面ではより高度なレベルを学習できましたが、スピーキングやリスニングはやはり夏中国に留学していた頃が最盛期でした。

  • EP&E240/GLBL333/PLSC428 Comparative Welfare Policy

面白さ3 教授5 大変さ4
履修者10人くらいのセミナー。Mid-term paperとfinal paper。教授はアフリカの社会保障政策に関する研究の第一人者で、ディスカッションのリードの仕方もうまく、オフィスアワーに質問に行っても丁寧に答えてくれる良い人でした。欧米以外の国々の社会保障政策の変遷について議論する中で、リベラリズムなど政治科学の基本概念について学ぶこともできました。ただ、個人的にはやはり政治科学的アプローチとは相性が良くないということを再確認しました。

  • FILM319/GMAN273/LITR368 Third Reich in German Films

面白さ5 教授5 大変さ4
履修人数10人くらいのセミナー。Mid-term paperとfinal paper。最初は映画分析に関する知識が全くなく、どうなることかと思いましたが、最終的には一番楽しく、学びがいのあり、学べたことも多かった授業になりました。具体的な授業内容はこのブログでも何回かご紹介しましたが、全体として、過去の歴史がどう国としての記憶になりそれがどう時代の変化に伴い形作られていくのか、またどう形作っていくのが良いのか、考えさせられる授業でした。この授業を取らなければ一生見ることはなかったであろう映画をたくさん見られたので良かったです。教授も良い人で、毎週あるスクリーニングに毎回僕1人しか参加しなかったことで、絆が生まれました。

  • MMES334/HSAR335/WGSS335 Gender in Modern Middle East

面白さ3.5 教授3.5 大変さ4
履修人数3人のセミナー。美術鑑賞ができるようになり、中東のジェンダーについて、その概念、またその概念に対するイメージの変遷について歴史という時間の流れの中で理解することができたのは良かったです。ただ、履修者が少なすぎ、残りの2人もそこまでやる気がなかったので、ディスカッション等で得られるものが少なかったように思います。また、授業も当初の予定からかなりずれ、教授も時間配分や授業内容の配分をもう少し工夫してより多くを学べるようにできたのではないかと感じます。

ということで、総括すると、昨年に比べると、心底満足というクラスは少なかったように思います。ただ、自分が文化人類学に興味がやはりあり政治科学系ではないことを確認でき、様々な地域の事柄について学べ、美術や映画の教養もついたので長い目で見ればこれで良かったのかもしれません。来学期は、専攻に必要な授業を考えると同時に、このクラスには入れなかった時はこれ、というふうに、第一希望が通らない場合も見越して計画を立てておこうと思います。では!