早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。

フェミニズムはアメリカの受け売り?

レズビアン、ゲイ、トランスジェンダージェンダーセクシュアリティ、セクハラ、、近年話題になっている性的マイノリティや女性の権利と言った議題には横文字ばかりが並びます。言いたいことはわかるが、それは西洋の受け売りだ、日本の伝統的文化を軽視して良いのか?これくらい言っても良くない?ここアメリカじゃなくて日本なんだから。そんな風に思うこともあるのではないでしょうか。

事実、元々男/女という二元論や同性愛の宗教的・医学的違法性を主張していたのは西洋です。例えば昔のイランでは男性の中にも少年と髭の生えた青年という二種類の性が存在し、この二性間の恋愛や性的行為は一般規範として行われていましたし、日本でも明治時代くらいまでは似たように僧侶と弟子の少年、高等学校の寮生同士、と言った「男性」同士の行為は常識的なものでした。一方西洋ではキリスト教的に同性愛を罪だとしたり、医学的に病気だと扱ったり、法律的に取り締まったりしてきました。日本も近代化の一環としてこういった西洋の価値観を導入し頑張って広めた結果、現在のような恋愛による異性愛を至高とする価値観が常識となったのです。(東京大学ジェンダー論で勉強しました。)

このような背景を鑑みても、国連や西洋の活動家が日本に現在ある価値観を無視し、西洋で認められている議論の輸入を迫ってくるのはどうなのだろうか。そんな風に思いながらジェンダースタディセミナーの履修を決めましたが、授業内容や他の学生は僕のイメージとはだいぶ異なりました。「transnational gender studies」について学ぶこのセミナーは、西洋至上主義のフェミニズムに批判的です。このtransnationalという言葉も、国レベルの議論に縛られるinternationalや全世界に共通する絶対的な価値観があるという立場のglobalへの批判から生まれた表現です。

このtransnational gender studies、具体的にはどのようなアプローチかというと、国や第三世界といった定義に付随するイメージに惑わされずにより個人のレベルで物事を分析すると言えるでしょう。例えば授業で扱った論文の一つは、アメリカの白人男性がオンライン出会い系サイトを通じて中米の女性と結婚する現象を分析しています。これは一見先進国の白人男性が男尊女卑、植民地支配的思考という差別的な考えを持って人種・国籍・経済状況の違う女性を求めているように思えます。しかし、こういった国や途上度合いに縛られず、個人的なレベルで寄り添うと、もっと複雑なモチベーションを持って結婚を望む男性の姿が見えてきます。論文の著者が男性たちにインタビューした結果、彼らはフェミニズムなどの高まりにより伝統的家庭概念が失われてしまったアメリカでの生活に満足しておらず、まだその伝統が残っている中米にいる、よりピュアで「自然な女性」に近い女性を求める。さらに、その女性と結婚し子供を産むことでアメリカの浄化につながり、またこれは女性にとってもアメリカンドリームを叶えることにつながるため良い。そのように考えていると分析できました。

日本で高まっているフェミニズムや性的マイノリティの権利向上といった議論も、西洋の価値観をそのまま盲目的に輸入したり、逆に西洋かぶれと切り捨てたりせず、「国」「先進と後進」といった概念に縛られず分析し参加するべきなのかもしれません。その具体的な方法も、残りの学期を通じて考えていけたらと思います。では!