早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。ご質問、ご要望、ご連絡は記事へのコメント(非公開設定です)にお願いします。

4年生春学期授業振り返り

3月中旬に授業のオンライン化が決定し、それ以降は帰国し家で授業を受けていましたが、先日最後の課題を提出し、今学期、4年間のYaleでの最後の学期が終わりました。本来であればこれから2週間ほど休み期間があり、5月中旬に卒業式という形でしたが、コロナウイルスの影響によりそれも中止なので、実質最後の課題の提出がYaleの卒業というような形になります。このブログでも記してきた通り、4年間色々なことがありましたが、まずはいつも通り今学期の授業を振り返っていきたいと思います。

今学期はオンライン化の影響で途中で授業形式や課題の内容が変更になった授業も多くありました。また、もう1つ大きな変化として、全ての授業がUniversal Pass/Failという成績評価のシステムに変わりました。普段はAからFまで(1-4)の段階評価ですが、オンライン授業はインターネットやパソコン、授業を受ける環境等学生によって不平等な部分が出るため、全員が合格か不合格という評価評価をされることになったのです。この評価制度をめぐっても、最初大学側は希望する生徒のみこのPass/failシステムに変えられるという形にしようとしていましたが、学生からの反発の声、署名活動、投票の結果を受け、全員一律でPass/failシステムにすることが決定されました。

ということで、普通に授業を受けて課題を提出すれば落第することはないので、気は楽でしたが、その分教授や学生のやる気も若干下がっていたかなという今学期の授業を振り返っていきます。

1. ARCH 341 Globalization Space
資源、交通、技術、電気など多岐にわたる建造物やインフラについて様々な学問分野の文献を通じて学際的に学ぶ授業でした。なぜクレジットカードのサイズは全世界共通でどこでも使えるのか?建造物の破壊が生み出す可能性とは?エネルギーと植民地時代の影響とは?など色々な世の中の当たり前の裏側を学ぶことができたと思います。道路や建物は物理的に硬く動かないものですが、その存在自体が人の生活に様々な影響力を及ぼす可能性を秘めているという点が面白かったです。

2. ER&M 291 Caribbean Diasporic Literature
セミナー授業でしたが、オンライン化してからは日本時間の早朝でZoomでのミーティングに参加できなかったので、ディスカッションの録画を見て後日レスポンスを書いて教授に送るというスタイルになりました。また、オンライン化までは毎週小説やノンフィクションの随筆を一冊読んでそれを議論するという形でしたが、オンライン化以降は本を入手できない人もいるということで、電子化されてYaleの図書館を通じてアクセス可能な論文や講義を元に議論するという形に変わりました。ほとんど知らなかったカリブの国々の歴史や問題を学ぶことができ、またフィクションの小説から現実の問題を論じるという手法もペーパーを通じて実践することができ面白かったです。

3. ER&M 492 The Senior Essay or Project
卒業論文の締め切りも4月下旬に延期になり、本来は製本して教授に手渡しし、記念に写真を撮るというのが毎年恒例でしたが、PDFをメールで送るだけとなってしまいました。Yaleの図書館も春休み以降ずっと閉まっているので、ギリギリになって取り掛かろうとしていた人は大変だったかもしれません。僕の専攻では秋学期でLiterature Reviewパートを書き、3月上旬、春休み前にFull draftの締め切りだったため、本で調べて書くべきところは幸い春休みまでにほぼ終わっていました。そのため、帰国以降も細部を詰めるだけだったので無事納得のいく作品を提出することができたと思います。

4. HSHM 206 History of Reproductive Health and Medicine in the U.S.
週二回50分の授業なのですが、オンライン化以降は教授のやる気の問題なのか技術的な問題なのか、毎授業20分くらいでした。事前に録画されたものを見るので、2倍速で見てすぐ終わってしまい少し物足りなかったです。医療という、無条件に良いものと思ってしまいがちな分野にも人種やジェンダーという側面から見ると様々な問題があり、それには今までの歴史が深く関係しているということを学びました。コロナウイルスへの対応を巡り医療、科学、政治の関係性が議論されている今の状況を考える上でもためになることが学べたと思います。

5. PSYC 150 Social Psychology
こちらもオンライン化以降授業時間がかなり短くなりました。こんな心理学の定理があるという話だけでなく、実際にどのような実験を通じてその定理が検証されたのか、実生活にはどのように応用できるのか、といったことも学べ面白かったです。コロナウイルスを巡り様々な情報が錯綜し人々の行動も影響を受けている中でこそ役立つことも多かったと思います。

ということで、今学期の振り返りでした。これからしばらくはYaleでの4年間について色々な角度から振り返っていこうと思います。大学について、就活について、特撮についてなど何でも知りたいこと、読みたいことのリクエストがあればコメントお願いします!