早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。

アメリカ警察のパトカーに乗りました

日本でも警官と話したことなどほぼなかったのですが、この度アメリカ警察に4時間程お世話になってきました。
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とは言っても、犯罪を犯して捕まったわけではありません!!今学期履修している警察についての授業(Ethnography of Policing and Race)の一環として、地元の警察のパトカーに乗せてもらう(ride along)というフィールドワークをしてきたのです!アメリカでは書類を出せば誰でもできるものなのか、教授が元警察官でコネクションがあるからなのかはわかりませんが、この授業では学生全員一人一人が数回のパトカー乗車体験をし、それを元にペーパーを書くというのが最終的な課題です。乗車体験は、警察官の実際のパトロールシフトに同行するというもので、パトカーで街を巡回したり、交通事故現場に呼ばれて行ったり、DVの通報を受けて現場に行ったり、警察官専用の休憩所のようなところで同僚の人と話したりしました。一般人には公開できない秘密の多い組織というイメージの警察でしたが、行方を追っている犯人の個人情報から警察のネットワークシステム、現場への同行等起きていること全てをそのまま見せてくれ、驚きとともに面白い経験でした。授業で読んでいる文献と今回の観察を元に、特に印象に残っていることをQ&A形式で書いていきたいと思います。

Q1 警察官って、どんな仕事?毎日何してるの?

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社会学的には過去でもない、未来でもない、今を生きることなどできない説を検証

俺は過去でも未来でもなく、今を生きる。あなたは過去に囚われすぎている。大事なのは、今じゃない。漫画やアニメでそんなセリフを聞くこと、ありますよね。かっこいいシーンですが、よく考えてみると、過去にも未来にも縛られず、今を生きるってどう言うことでしょう。そんなこと可能なのでしょうか?そこで今回持ってきた説はこちら。過去でもない、未来でもない、今を生きることなどできない説!
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今回の説の検証にあたり、我々はヒト、社会に一番詳しい社会学者を探すことに。まず浮かび上がったのがアメリカ出身のベッカー (Gary Becker, 1976)。ノーベル経済学賞も受賞していて、合理的選択理論(Rational Choice Theory)を提唱し経済学を人間の様々な決断、行動に応用したことで有名だ。この理論はいたってシンプル。人は誰しもどのような時でも、置かれた状況の制約の中において未来のWelfareを最大化するよう利益とコストを計算し決断・行動すると言うもの。つまり未来に縛られて生きていると言うことだ。Welfareは基本的には経済的利益のことを指すが、コネクションや地位、尊厳といった社会的・文化的利益も含まれている。

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フェミニズムはアメリカの受け売り?

レズビアン、ゲイ、トランスジェンダージェンダーセクシュアリティ、セクハラ、、近年話題になっている性的マイノリティや女性の権利と言った議題には横文字ばかりが並びます。言いたいことはわかるが、それは西洋の受け売りだ、日本の伝統的文化を軽視して良いのか?これくらい言っても良くない?ここアメリカじゃなくて日本なんだから。そんな風に思うこともあるのではないでしょうか。

事実、元々男/女という二元論や同性愛の宗教的・医学的違法性を主張していたのは西洋です。例えば昔のイランでは男性の中にも少年と髭の生えた青年という二種類の性が存在し、この二性間の恋愛や性的行為は一般規範として行われていましたし、日本でも明治時代くらいまでは似たように僧侶と弟子の少年、高等学校の寮生同士、と言った「男性」同士の行為は常識的なものでした。一方西洋ではキリスト教的に同性愛を罪だとしたり、医学的に病気だと扱ったり、法律的に取り締まったりしてきました。日本も近代化の一環としてこういった西洋の価値観を導入し頑張って広めた結果、現在のような恋愛による異性愛を至高とする価値観が常識となったのです。(東京大学ジェンダー論で勉強しました。)

このような背景を鑑みても、国連や西洋の活動家が日本に現在ある価値観を無視し、西洋で認められている議論の輸入を迫ってくるのはどうなのだろうか。そんな風に思いながらジェンダースタディセミナーの履修を決めましたが、授業内容や他の学生は僕のイメージとはだいぶ異なりました。「transnational gender studies」について学ぶこのセミナーは、西洋至上主義のフェミニズムに批判的です。このtransnationalという言葉も、国レベルの議論に縛られるinternationalや全世界に共通する絶対的な価値観があるという立場のglobalへの批判から生まれた表現です。

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3年生春学期の授業

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1週間のスケジュールです。特に意識した訳ではないですが、今学期は全ての授業が部屋から1ブロック以内の教室で行われることになりました。

1. ARBC 140 Intermediate Modern Standard Arabic II
毎日50分のアラビア語の授業です。先学期に引き続きという感じです。

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2019年、始動

明けましておめでとうございます。3年生の後半が始まろうとしています。将来の夢を聞かれた時、僕は小学生の頃から常に「ウルトラマンになりたい」と答えてきました。半分冗談ですが、半分本気で思っていました。自分にも世界の平和を守るために何かできることがあり、それを見つけできるようになることが自分なりのウルトラマンになることであり僕の夢であると。

大学はその「自分ができる何か」が何であるかを見つけ、そのための力を伸ばす場所であると考えていましたが、今僕はそれが何であるか見つけられていないどころかウルトラマンになるという夢さえも強く想えなくなっている気がします。一つは昨年の夏のヨルダンでの経験がきっかけだと思います。現地のNGOやJICAで活動されている日本人の方々とお会いし、「人を助ける」ことが自分には技術的にも精神的にもまだまだ出来ないと実感しました。もう一つは先学期の中盤にあったペーパー課題の成績。例え力不足であってもとりあえず挑戦して頑張ればそれなりに力を伸ばせるという自分の伸び代にはそれまで自信がありました。それは高校時代色々なことに挑戦する中で培われたもので、それが大学でも一年生の時からセミナーを履修したり色々な課外活動に挑戦したりすることを後押ししていました。しかし、先学期、1年生も多く履修するような比較的簡単なクラスのペーパー課題の成績が悪く、自分が思っていたほど英語の能力やwritingの力が培われていないことを実感しました。

そこで自分の成長する力に対する信頼を失ってしまい、何かに挑戦するエネルギーがなかなか生まれなくなってしまったのかなという風に感じます。しかしそれは言い換えれば自分の力を過信しすぎていた、ウルトラマンになるのは思っていたほど簡単ではないことに気付かされた、ということでもあり、その現実に対峙しなければ乗り越えられないのだと思います。

先学期はあまり挑戦しないようにすることでその現実から目を背けていた部分もあったと思います。しかしそれでは自信は戻らず負のスパイラルに陥ってしまいました。今学期はどのように現実と向き合えるかを考え、またウルトラマンになりたい、なれると心から思えるようになることが目標です。そうすれば、また色々なことに挑戦し行動するエネルギーが復活するのではないかと期待しています。

3年生秋学期授業振り返り

大学生活も後半戦となった今学期に履修した各授業の振り返りをしたいと思います。今学期は再び言語のクラスが毎朝あったり、長いファイナルペーパーが期末になかったりと、昨年とは少し違った日々だったと思います。

1. ARBC 130 Intermediate Modern Standard Arabic I

履修人数12人ほど、毎日50分の授業でした。アラビア語を一年間履修した人向けのクラスで、僕の言語レベルよりかなり高く、学期後半までついていくので精一杯という感じでした。期末テストはなく、小テストが5回でしたが、5回目でやっと平均を超えられました。中国語以上になかなか習得できていない自分に苛立ち、毎朝行くのが辛いことも多かったですが、最後まで辞めずに終えられた点は良かったかなと思います。

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ビジネス成功の鍵は文化!?

以前の記事で大量生産・大量消費のスタイルを生み出したFordismについて書きました。資本主義において不可避なOver-accumulationにより廃れていったFordismですが、その後登場したPost-Fordismと括られる企業のあり方とはどのようなものなのでしょうか。圧倒的だったFordismに比べ、多種多様なシステムが生み出されましたが、その中でも今回は低価格・高品質を可能にしたサプライチェーンに注目し、そのシステムと文化の関係について考えてみたいと思います。

フォードの時代以降、企業のグローバル化が進みました。マクドナルドのような、多国籍企業が世界各国にフランチャイズを展開するという、消費の面でのグローバル化もありますが、それ以上に生産の面でのグローバル化サプライチェーンの確立は企業に大きな革命をもたらしました。サプライチェーンとは、簡単に言えば賃金の安い国・地域で商品を生産しそれを世界各国で売るというものですが、「資本は労働より可動性が高い」という分析で説明されるほど単純なシステムではありません。

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