早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。

2019年、始動

明けましておめでとうございます。3年生の後半が始まろうとしています。将来の夢を聞かれた時、僕は小学生の頃から常に「ウルトラマンになりたい」と答えてきました。半分冗談ですが、半分本気で思っていました。自分にも世界の平和を守るために何かできることがあり、それを見つけできるようになることが自分なりのウルトラマンになることであり僕の夢であると。

大学はその「自分ができる何か」が何であるかを見つけ、そのための力を伸ばす場所であると考えていましたが、今僕はそれが何であるか見つけられていないどころかウルトラマンになるという夢さえも強く想えなくなっている気がします。一つは昨年の夏のヨルダンでの経験がきっかけだと思います。現地のNGOやJICAで活動されている日本人の方々とお会いし、「人を助ける」ことが自分には技術的にも精神的にもまだまだ出来ないと実感しました。もう一つは先学期の中盤にあったペーパー課題の成績。例え力不足であってもとりあえず挑戦して頑張ればそれなりに力を伸ばせるという自分の伸び代にはそれまで自信がありました。それは高校時代色々なことに挑戦する中で培われたもので、それが大学でも一年生の時からセミナーを履修したり色々な課外活動に挑戦したりすることを後押ししていました。しかし、先学期、1年生も多く履修するような比較的簡単なクラスのペーパー課題の成績が悪く、自分が思っていたほど英語の能力やwritingの力が培われていないことを実感しました。

そこで自分の成長する力に対する信頼を失ってしまい、何かに挑戦するエネルギーがなかなか生まれなくなってしまったのかなという風に感じます。しかしそれは言い換えれば自分の力を過信しすぎていた、ウルトラマンになるのは思っていたほど簡単ではないことに気付かされた、ということでもあり、その現実に対峙しなければ乗り越えられないのだと思います。

先学期はあまり挑戦しないようにすることでその現実から目を背けていた部分もあったと思います。しかしそれでは自信は戻らず負のスパイラルに陥ってしまいました。今学期はどのように現実と向き合えるかを考え、またウルトラマンになりたい、なれると心から思えるようになることが目標です。そうすれば、また色々なことに挑戦し行動するエネルギーが復活するのではないかと期待しています。

3年生秋学期授業振り返り

大学生活も後半戦となった今学期に履修した各授業の振り返りをしたいと思います。今学期は再び言語のクラスが毎朝あったり、長いファイナルペーパーが期末になかったりと、昨年とは少し違った日々だったと思います。

1. ARBC 130 Intermediate Modern Standard Arabic I

履修人数12人ほど、毎日50分の授業でした。アラビア語を一年間履修した人向けのクラスで、僕の言語レベルよりかなり高く、学期後半までついていくので精一杯という感じでした。期末テストはなく、小テストが5回でしたが、5回目でやっと平均を超えられました。中国語以上になかなか習得できていない自分に苛立ち、毎朝行くのが辛いことも多かったですが、最後まで辞めずに終えられた点は良かったかなと思います。

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ビジネス成功の鍵は文化!?

以前の記事で大量生産・大量消費のスタイルを生み出したFordismについて書きました。資本主義において不可避なOver-accumulationにより廃れていったFordismですが、その後登場したPost-Fordismと括られる企業のあり方とはどのようなものなのでしょうか。圧倒的だったFordismに比べ、多種多様なシステムが生み出されましたが、その中でも今回は低価格・高品質を可能にしたサプライチェーンに注目し、そのシステムと文化の関係について考えてみたいと思います。

フォードの時代以降、企業のグローバル化が進みました。マクドナルドのような、多国籍企業が世界各国にフランチャイズを展開するという、消費の面でのグローバル化もありますが、それ以上に生産の面でのグローバル化サプライチェーンの確立は企業に大きな革命をもたらしました。サプライチェーンとは、簡単に言えば賃金の安い国・地域で商品を生産しそれを世界各国で売るというものですが、「資本は労働より可動性が高い」という分析で説明されるほど単純なシステムではありません。

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眩き冒険者 ボストンキャリアフォーラム編

彼が日本に来るのは久しぶりだった。2年前言葉も文化も何もわからない状態で栃木に一年留学した彼の現在は奇跡に近い。5年生レベルの日本語を履修し、今日本の企業に応募しようとしているのだから。長かったような短かったような、そんなことを思いながら彼はボストンに降り立った。ボストンキャリアフォーラム。日本での就職先を得られる唯一と言っても過言ではない就活イベント。会場に足を踏み入れた彼の周りは本当に日本人ばかりだ。皆一様に紺の就活スーツを身に纏い緊張した面持ちを浮かべ会場を彷徨っている。「日本に来た。今までとはまた違う、新しい日本に。」
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僕は彼のことが心配だった。日本人である僕にとっても大変なイベントに彼は1人乗り込もうとしている。言語面での問題はないだろう。彼の日本語クラスのチューターとして一学期間会話や面接の練習を見て来た中でそこに不安は感じていない。しかし相手が企業の採用担当と大学生とでは大きく異なる。言語だけでなくマナーや文化の理解も必要となるだろう。ボスキャリというある種異様な空間の中で萎縮してしまわないだろうか?数週間前に「なぜ自分が日本語を学んでいるのかわからない。来学期以降も続けるべきかな?」相談して来た彼の声が頭をよぎる。

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米大留学生の就活事情

今週末は、日本人留学生に知らない者はいないボスキャリです。230の日本企業及び日本支社を持つ他国企業がボストンの会議場に集まり、1万人を超える日本人留学生参加者の採用を行う、年一回の一大イベント、ボストンキャリアフォーラム。三日間で応募から内定まで出す企業もあるということで、日本での就職に興味のある学生の多くが、早い人は一年生の頃から参加します。他方、僕自身三年生になり色々な機会を目にする中で、アメリカの大学に通う日本人が就活をする機会はこのボスキャリに限るわけではないこともわかってきました。今回は、米大留学生の就職活動についてご紹介したいと思います。
↓ボスキャリのイメージ図
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日本人留学生がアメリカにいながら日本企業のことを知り就活をする方法は大きく分けて二つあります。一つは企業自身の開催する説明会や面接に参加するというもの。

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開発経済学の目指す世界

なぜ先進国と発展途上国の経済格差は縮まらないのか?なぜ1日$1以下で生活している人々がいる一方で億万長者も存在するのか?何をすれば格差は縮まるのか?貧困層をなくすにはどうすれば良いのか?誰でも一度は考える疑問ではないでしょうか。経済学の中でも、開発経済学は特にこういった疑問に特化し、実験や数学技術を駆使して答えを探っています。その片鱗を授業を通じて学んでいるので、ご紹介したいと思います。

開発経済学が明らかにしたいもの、それは一言で言えば因果関係です。〇〇をすれば、人々の収入が上がる、健康状態が良くなる、のようにこれさえすれば問題を解決できる!というのを探し、仮説を立て、それを証明します。ここで問題となってくるのは、仮説の関係が本当に因果関係で、ただの相関関係ではないということを証明する難しさです。例えば、「教育を受ければ収入が上がる」という仮説を考えてみましょう。この証明のためには回帰分析という統計学の手法を用います。調べている地域の人々の教育を受けた年数と収入の統計を取り、それを数式

(収入)=β1+β2(教育年数)+ε

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「企業」とは

大学三年生になると、将来のこともだんだんと考えなければなりません。周りを見ると毎週末のようにコンサルや投資銀行のインタビューに赴く人も多くなってきました。そんな時ふと、人はなぜ働くのか?なぜ企業という組織に属し生きていくのか?この生き方は人の歴史の中でいつどのように形成されたものなのか?思いますよね。この疑問を文化人類学的視点から考察するのが今学期履修している「The Corporation」という授業です。

授業は歴史的に企業を見ており、東インド会社からアメリカでの鉄道会社・石油会社、フォード、そしてポストフォードという感じでそれぞれの時代における企業の形態、役割、文化などについて考察して来ました。文化人類学らしく、企業がどう変化して来たかだけではなく、それによって人々の働き方や消費行動がどのような影響を受けたかということにも注目するのが興味深い点です。今回は特にフォードに注目して書いて見たいと思います。

ご存知アメリカを代表する自動車企業のFord。Assembly line (ベルトコンベア方式)という車製造の過程を全て繋ぎ、作業員がそれぞれ一部分のみをひたすら担当する製造方法を開発し、1900年代初頭から目覚ましい成長を遂げました。これは生産方式としてはTaylorismを最適化して取り入れたものと言えます。Taylorismとは人間の身体を科学的に捉え効率の良い動きを追求するというもので、フォードの作業員は厳格に定められた動きのみをひたすら繰り返し行うことで、生産の効率を最大限高めました。これによってフォードはコスト削減と大量生産を同時に達成することに成功したわけですが、それだけでは事業の成功には至りません。

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