早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。ご質問、ご要望、ご連絡は記事へのコメント(非公開設定です)にお願いします。

ブログを電子書籍にしました

お久しぶりです!

5月にYaleを卒業してから何をしていたのかというと、このブログを元に電子書籍を作っていました。この度ついに1冊目が完成したので、Amazonで販売を開始しました!ブログ記事を元に大幅に加筆・修正を加え、アメリカの大学生活や授業についてより詳しくわかりやすく書いてあります。Kindle Unlimitedに加入していればタダで読めます。

新型コロナウイルスの流行により、海外の大学について知りたくても、現地まで見学に行くのは難しくなってしまいました。その代わりとして、海外大を目指している方や、国内外どちらの大学も検討している方に、現地に行かなくてもアメリカの大学について知ることのできる本を提供したいと思って作りました。
読んだりシェアしたりしていただけたら嬉しいです!!

このブログはこのまま消さずに残します!ただ、もうYaleは卒業したので、更新はほとんどしないと思います。ちなみに、9月からは日本で働いています。

今までブログを読んできてくださった読者の皆様、ありがとうございました!!!

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Yaleで面白かった授業ベスト5

Yaleの4年間で僕が履修した授業は全部で37個。今回は、そのベスト5を発表したいと思います。

ランキングのポイントは
1. 知的好奇心という意味で面白かったか
2. 教授の教え方がうまかったか
3. 授業によって自分の考え方や価値観が大きく変わったか
の3つ。

思えばYale入学当初は一応物理専攻の予定でした。それがいつのまにか完全に文系の専攻を選び、物理の授業は一年生の一学期に取った宇宙物理の一個しか取っていません。色々な出会いや経験によって興味が絞られていきましたが、やはり4年間で取った授業はとても影響力のあるものでした。そんな中5つを選ぶのはとても難しいですが、上記の条件に沿って評価しました。

先にまとめを書いておくと、5つの授業はどれも単なる知識ではなく、学問的なアプローチ手法や社会問題の考え方、価値観を教えてくれた授業であり、そこから学んだ、社会へのアプローチの仕方はその後の授業や普段の生活の中で僕に多大な影響を与えているという点で共通しています。レクチャーを一方的に受けて期末試験をして終わり、ではなく、膨大な量の課題図書を読み、ディスカッションに参加し、ペーパーやReading responseを通じて自分の考えをアウトプットするスタイルだったからこその結果だと思います。僕のYaleやアメリカに対する考えは4年間で上がったり下がったりでしたが、やはり授業の素晴らしさはずっと変わらずすごいと思います。

第5位: History of Reproductive Health in the US
4年生の春学期に取ったHistory of medicineの授業。医療という視点からアメリカの人種や移民問題、植民地政策の歴史を学びました。週二回のレクチャー+週一回のTAによる少人数のセクションという形でしたが、特にセクションのTAが良い人で、授業に出てきた問題の解決策として実際に行われていることについて紹介してくれる等、授業の復習にとどまらないセクションをしてくれました。

授業を履修するまで、医療とは絶対的に良いものであり、人種問題等の社会問題と結びつけて考えたことがあまりありませんでしたが、この授業を通じて社会問題と医療が様々な面で深く結びついていることを学びました。コロナの状況下でも、一連の医療問題を固有の問題ではなく長い歴史の中に位置付けて見られるようになったかなと思います。

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4年生春学期授業振り返り

3月中旬に授業のオンライン化が決定し、それ以降は帰国し家で授業を受けていましたが、先日最後の課題を提出し、今学期、4年間のYaleでの最後の学期が終わりました。本来であればこれから2週間ほど休み期間があり、5月中旬に卒業式という形でしたが、コロナウイルスの影響によりそれも中止なので、実質最後の課題の提出がYaleの卒業というような形になります。このブログでも記してきた通り、4年間色々なことがありましたが、まずはいつも通り今学期の授業を振り返っていきたいと思います。

今学期はオンライン化の影響で途中で授業形式や課題の内容が変更になった授業も多くありました。また、もう1つ大きな変化として、全ての授業がUniversal Pass/Failという成績評価のシステムに変わりました。普段はAからFまで(1-4)の段階評価ですが、オンライン授業はインターネットやパソコン、授業を受ける環境等学生によって不平等な部分が出るため、全員が合格か不合格という評価評価をされることになったのです。この評価制度をめぐっても、最初大学側は希望する生徒のみこのPass/failシステムに変えられるという形にしようとしていましたが、学生からの反発の声、署名活動、投票の結果を受け、全員一律でPass/failシステムにすることが決定されました。

ということで、普通に授業を受けて課題を提出すれば落第することはないので、気は楽でしたが、その分教授や学生のやる気も若干下がっていたかなという今学期の授業を振り返っていきます。

1. ARCH 341 Globalization Space
資源、交通、技術、電気など多岐にわたる建造物やインフラについて様々な学問分野の文献を通じて学際的に学ぶ授業でした。なぜクレジットカードのサイズは全世界共通でどこでも使えるのか?建造物の破壊が生み出す可能性とは?エネルギーと植民地時代の影響とは?など色々な世の中の当たり前の裏側を学ぶことができたと思います。道路や建物は物理的に硬く動かないものですが、その存在自体が人の生活に様々な影響力を及ぼす可能性を秘めているという点が面白かったです。

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イエール大学心理学教授がオススメするコロナウイルスに立ち向かう4つの方法

春休みが明け、オンラインでの授業が始まりました。社会心理学(Social psychology)の最初の授業は、コロナウイルスについて。社会心理学的見地から、コロナウイルスに関連する人々の行動、そしてこれからについての分析をしていました。今までに授業で習ったことを鑑みた僕の考えも合わせ、4ポイントに分けて紹介したいと思います。

1. 情報は集めろ、しかし集めすぎるな
人には自分の予想、予測が実現するように無意識に行動する習性があります(self-fulfilling prophecy)。ある学校の先生に、ランダムに選ばれた生徒の嘘のIQを教えた上で授業をしてもらったところ、高いIQを持っているとされた(実際のIQではなく)生徒のテストの点数が低いIQを持っているとされた生徒より高かったという有名な実験があります。先生はIQが高い生徒の方が勉強ができるという自身の予想を実現するために行動(高いIQだとされている生徒により指導する等)したのです。

コロナウイルスにおいては、例えば中国人が感染源だと思った人はそういった情報を多く集めようとしますし、トイレットペーパーの買い占めが起こると思った人はそういった情報を拡散し、また買い占めという行動をとります。こういった自分が思ったことが必ずしも正しいわけではないと気づくためには、情報の収集が不可欠です。

一方で、四六時中ネットやテレビのニュースに張り付くことは精神的に逆効果となります。人には長時間かけて考える論理と短時間で決断・結論づける直感の機能が備わっていますが、直感は短時間で決断する故のエラーが存在します。その一つがAvailability heuristicと呼ばれるもので、たくさんある情報の中で目の前にある情報のみをもとに判断を下してしまうという性質です。例えば、5人の被験者に協力して車を押してもらった後に、自分の車を押すという行為への貢献度を問うと、20%より高い数値を答える人が多いという実験結果が出ました。自分の貢献度が他の人より高いと皆思ったということです。これは被験者たちが車を押すときに見えていた、車を押す自分の手という目の前の情報をもとに貢献度を判断した結果です。

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Yale大学のコロナウイルス対策

春休みになりましたが、コロナウイルスがついにアメリカでも猛威を振るっています。春休みに入って数日経った3月10日夜9時、学長から一通のメールが。そこには春休み以降4月上旬まで全ての授業がオンラインに移行すること、そして一部の例外を除いて学部生は寮から近日中に退去することが記されていました。僕はオフキャンパスに住んでいるので、退去する必要はなく、4月に授業が再開されるのか、ずっとオンラインのままで卒業式等も行われないのかの判断が下ってから帰国するかどうか考えようと思っていますが、寮に住んでいる人たちは大変です。ハーバード、MIT、コロンビアなど他の各私立大学も似たような状況らしいですが、Yaleのポリシーの詳細について解説したいと思います。

追記(3/14):本日Yale大学関係者に初のコロナウイルス感染者が確認されたことを受け、学長から授業のオンライン移行・寮からの締め出しを春学期末まで延長すること、無期限で医療機関などを除く大学施設を閉鎖することを決定したというメールが届きました。卒業式はまだ開催するか決めないらしいです。図書館なども閉まってしまい、あまりYale付近に残る意味がなくなってしまったので、いつ帰国するのか、再考する必要がでてきそうです。

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