早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。ご質問、ご要望、ご連絡は記事へのコメント(非公開設定です)にお願いします。

特撮101ー初めてのウルトラマンー

アメリカの大学の授業の番号はだいたい難易度順に3ケタで表されることから、入門であることを101とよく例えます。特撮入門といえば初代ゴジラと初期ウルトラシリーズでしょう。ゴジラに関してはこれまでも何度か書いてきましたが、ウルトラマンについては一回しか書いていませんでした。
ウルトラマンのヒミツ〜日本の宗教編 - 早坂有生のYALEは少しマニアックな観点からのアプローチだったので、今回はオーソドックスなウルトラの世界への入り口について書きたいと思います。ご紹介する各エピソードはkissasian.chというウェブサイトで観られるようですね。

そもそもウルトラシリーズとは、通常1966年に放送を開始した『ウルトラマン』から続く、特撮ヒーロードラマシリーズのことを指します。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」…と、それぞれ異なるウルトラマン、設定等を要して約一年放送し、完結します。「ウルトラマンネクサス」のような例外もありますが、基本的には一話完結です。全体的に言えるのは、ともすれば子供向け娯楽作品と偏見の眼差しを向けられることの多いウルトラシリーズですが、その実態は戦争、占領など様々なことを経験して来た大人たちが真剣に、テーマを持って完成させた芸術作品であり現実社会の縮図を描く人間ドラマでもあります。特に初期の作品にはそういった、強く訴えかけ心から離れないような作品が多くあります。ウルトラシリーズを見たことない方が見るべき作品をいくつかご紹介したいと思います。

まず見るべきは1966年7月17日放送、初代ウルトラマン第一話「ウルトラ作戦第一号」でしょう。ここにその後のウルトラシリーズで踏襲される設定の全てが明らかになり、さらにウルトラマン特有のヒーロー観を見ることができます。具体的には、地球の平和を守るために世界規模で構成された人間の組織とその極東基地の精鋭数名による防衛隊(ウルトラマンでは科学特別捜査隊、通称科特隊または科学特捜隊)、宇宙からやってくる怪獣、M78星雲から来た巨大ヒーロー、そしてウルトラマンと一心同体となる人間態(通常防衛隊員の1人)です。どの設定・概念も今後ウルトラシリーズをみていく上で前提となる知識なので、第一話の特にウルトラマンがハヤタと一心同体となるシーンまでは見ましょう。

名作揃いの初代ウルトラマンのエピソードの中で仮に一つだけ選ばなければならないとすると、それはやはり第23話『故郷は地球』でしょう。「ウルトラマン」はただ怪獣が出て来て街を壊し、それをウルトラマンが倒す、という話ではないことがよくわかる作品です。日本で行われる国際会議参加者の乗る船や飛行機を襲う怪獣ジャミラ。その正体は…?人間とは、世界平和とは、科学の発展とは。実相寺昭雄監督による芸術的なカメラワーク、ジャミラの呻きと、物言わず対峙するウルトラマン、そして科学特捜隊のイデ隊員のドラマが問いかけます。

ウルトラマン」の他のオススメのエピソードは第2話「侵略者を撃て」第15話「恐怖の宇宙線」第30話「まぼろしの雪山」第33話「禁じられた言葉」第35話「怪獣墓場」などです。

ウルトラマン」に続いて放送を開始した「ウルトラセブン」では、より直接的に人間の性、ウルトラマンというヒーローの存在意義、平和とは何か、といった問いを投げかけるようになります。ここから先はまた次回!