技能実習制度とNGO
先週は、インターンをしているNGOの企画した日本でのスタディツアー及び会議参加のため東京に滞在していました。スタディツアーでは、ベトナム・カンボジア・ミャンマーでそれぞれ移民支援をしているNGOの代表者と一緒に、日本で技能実習制度や技能実習生の支援に携わっている様々な方にお話を伺い、会議では三国と日本の様々な関係者が一堂に会し、問題点や今後の展望について議論が行われました。
僕の一番の役割は、スタディツアーの際に切符を買い、皆をそれぞれの場所まで案内することでしたが(意外と疲れますね)、色々な視点での技能実習制度に関する意見を学ぶことができ、とても有意義な滞在となりました。全体として印象的だったことを書いてみたいと思います。
↓会議の様子。各団体の代表者が活動や問題点についてのプレゼンテーションを行い、それに対する質疑応答をするという形で進められました。その内容を全て書き起こし、記録してまとめるのも僕の仕事です。
ぼくらが旅に出る理由 カンボジア技能実習生編
前回の記事で紹介したように、インターンシップの一環としてカンボジアにて、技能実習生として日本に行くことが決まった人たちに出国前の日本語トレーニングを提供している送り出し機関及び移民当事者にインタビューして来ました。インタビューの内容をそのままお伝えすることはできませんが、そもそも技能実習とは何なのかというところから書いてみたいと思います。
↓授業を受けていた学生の机の上。
技能実習とは、日本の技術を発展途上国からの実習生に指導しそれを本国に持ち帰ってもらうことでアジア圏に貢献しようという趣旨のプログラムです。ベトナム、中国等からのからの受け入れが多いですが、2007年からカンボジアからの受け入れも開始されました。数千人に上る失踪者、受け入れ企業の70%超が何らかの労働法違反を犯している等ネガティブな報道や統計でも有名ですね。
良い社会学の定理とは?
マルクス、デュルケーム、フーコーなど歴史的に有名な社会学者、また彼らが提唱した社会学の定理 (social theory)「社会主義」「分業論」「規律訓練型社会」等は今尚様々な分野、学者に影響を与えています。しかし、社会学者、社会学の定理は数え切れないほど存在してきたはずです。なぜこのように、いくつかの人物、定理だけが今も重要視されているのでしょう。「良い社会学の定理」の定義とは何なのでしょうか。
物理や数学など理系の場合、定理が正しいかどうかは基本的に証明できます。理論的に計算したり、または確率論的に議論することで正当性を定量的に示すことができます。社会学の定理はそのように正当性を証明することはできません。例えば、「世の中の95%以上の社会に当てはまる定理が正しい」というような証明方法は、現実的には使用できません。
そもそも社会学の定理とは何なのでしょう。一つの答えが、「因果関係を説明するもの (causal explanation)」です。〇〇によって△△が起きるという形、特に何か個人や機関の行動、思考が社会的なマクロの現象を引き起こす、という形が社会学の定理には多くあります。例えばフーコーは、政府などの権威による、「常に監視されているかもしれないと思わせるような形の権力」によって「多くの人々の行動が規律付けられている」という定理を提唱しています。
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