早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。ご質問、ご要望、ご連絡は記事へのコメント(非公開設定です)にお願いします。

今日、微信した?

Yaleの次年度の授業予定がホームページにアップされました!今年も2000を超える授業があり、名前と簡単な説明だけ読んでも面白そうなものがたくさんあり楽しみになりました。

さて、今中国で本当に誰もが持っているスマホ。そんなスマホを持っている人全てが使っていると言われているのが微信(WeChat)という、LINEの中国版のアプリです。今日の授業によると、70~80年代は今日ご飯食べた?が挨拶代りだったのが、今では今日微信した?が挨拶代りになるくらい、人々にとってこのアプリの存在は大きいようです。このアプリの何がすごいのか。僕もアメリカにいるときに既にアカウントを作っていましたが、現地で生活して初めてわかる効能も多いので、簡単に紹介したいと思います。

中国で生活する上で、微信さえあれば全ての需要が事足りると言っても過言ではありません。チャット機能はLINEと同様もちろんのこと、カードがわりの支払いができ、携帯料金の支払いもでき、共用自転車とも連携、ホテルや電車の予約も可能。一つ問題なのは、今のところ国外の銀行との連携はなく、国際系はVISAかMasterのクレジットカードしか登録できない点です。僕は中国の銀行のアカウントを持っていなく、登録できるクレジットカードも持ってなかったのでしばらくの間支払い機能が使えず、色々試行錯誤していたのですが、結局中国人の先生に微信上でお金をもらうことで、様々な支払い機能を使えるようになりました。

この支払い機能、何が便利かというと、一つはオンライン上の支払いほぼ全て微信で可能になること、さらに、もう一つ、どこの買い物も全て微信で可能になることです。オンライン上では、携帯の通信量の追加支払いをしたり、後述する共有自転車の登録をしたりと、何かとお金が必要なことがあり、従来なら中国の銀行を開く、またはそれぞれのサイトでいちいちカード情報を入力しなければならないところ、微信があれば、一瞬で支払いが完了します。また、デパートからスーパー、レストランから個人経営のどんなに小さな店でも必ず微信で支払えるようになっており、現金を下ろす必要も、支払いの際にお金を頑張って数える必要もありません。逆にカードを使える店は意外と少ないので、微信の便利度をさらにあげています。

微信での支払いが可能になったことで、共有自転車を使えるようになりました。共有自転車は、今急激に人気を獲得していて、街中でも至る所で見かけます。
↓大量に停めてある共有自転車。色ごとに違う会社です。停めてある自転車はいつでも使え、使い終わったらほぼどこでも乗り捨てて行けます。
f:id:yukihayasaka:20170705021955j:plain
使用方法は簡単で、アプリをダウンロードし、登録するだけです。すると、好きなときに共有自転車のQRコードを読み取りロックを解除し利用、その後おりたいところで乗り捨てることができるようになります。料金は30分20円くらいですが、いくつかの会社が競合していて、無料キャンペーンをたくさんしているのでほぼ無料で利用できます。唯一の難関は最初の登録で、この際にデポジットをする必要があるのですが、中国の銀行アカウントを持っていないと難しいのが現状です。しかし!ここでも微信が使えます。共有自転車は本当に便利で、最近ではHBAの学生も皆教室への行き帰りや買い出しの際使い始めました。

以上中国の便利アプリの便利さを書いてきましたが、もちろんそれなりの弊害もあります。例えば、中国人の先生は、今では春節の時家に帰り親戚たちと日本の紅白的な名物テレビを見ていても、若い人たちは皆スマホの微信でお年玉や年賀状を送り合い、テレビも微信とリンクした企画ばかりでお年寄りはただご飯を作り食べるだけで置いてけぼりになっている、と言っていました。また、乗り捨て自転車も、ライトがついていなく夜使うと危険だが特に制限はない、乗り捨てていい場所と悪い場所が曖昧、意外と簡単に鍵を壊せるなどの問題点もあります。

日本のニュースなどを読むと、このような問題点ばかり強調されているような印象を受けます。しかし微信支払いや共有自転車と言った新しい技術を積極的に受け入れることで、様々な方面で人々の需要を生み出し、雇用を生み出し、生活を向上させているのは確かだと感じます。例えば、共有自転車も、乗り捨てにすることで利便性を高めより多くの人々の需要をうみ、その分金額は安く、また自転車を人々がより多く集まる場所へ運んだり修理したりする人たちの雇用を生み出しています。この、弊害への憂慮より新しさ、利便さを受け入れる中国の精神は、近年の経済発展とも無関係ではないのではないかと感じました。