中国農村での五日間Part1
北京での2ヶ月の語学学習プログラム終了後、新幹線で5時間くらいの農村地帯にある高校で開かれたサマースクールに、教える側として参加してきました。Building Bridgesというこのサマースクールは、今年で10年目で、毎年Yaleと中国の大学の団体が合同で中国の農村地帯に行って教えています。僕は一年生の春学期からYale内のBuilding Bridgesという学生団体の一幹部として所属していて、このサマースクールの準備を手伝っていました。また、ちょうどHBAの直後にあるということもあり、今回参加しました。個人的には、貧しく教育格差の影響を受けている生徒をYale生として助けたい!ではなく、北京という大都市に2ヶ月いて色々学ぶことができたので、中国の農村の現状についても学びたい!という目的でした。中国の都市部の発展は凄まじいが、農村部はまだまだで生活環境はかなり悪い、よくそう聞きます。実際はどうなのでしょうか。
↓高校から見える景色。想像していたような、どこまでも畑が広がるような場所ではありませんでした。
僕が行ったのは山西省洪洞というところで、高铁(中国の新幹線)の駅から車で30分くらいの場所にある全寮制の高校です。北京大学や香港大学などの他の中国の大学生の子たちとともに、4人で高校三年生の1クラス(約50人)89組を担当しました。高校全体での生徒数はおよそ5000人とのことですが、夏休みだったため全員がいたわけではありませんでした。生徒は平日は寮に住み、週末は家に帰ることができます。
中国では高考(大学入試統一試験)は6月にあり、高校三年生ともなれば勉強で一番忙しい時期です。なので夏休みなどという概念はなく、朝6:10起床、朝食後7:10から自習開始、午前中に40分の授業が4コマありその後自習、昼食後40分の授業が3コマありその後自習、夕食後自習、午後10:30に自習終了後寮に戻りさらに一時間ほど勉強して寝る、という生活をしていました。なぜそんなに勉強するの?と聞くと学校がそうさせるから、高考のため、大変じゃないの?と聞くと、大変だけどもう慣れたと言われました。実際見ていても、皆そこまで勉強だけをただしている暗い感じというわけでもなく、全体的に明るい性格の子が多い印象でした。また、2日目くらいからは自習時間の度に大学生たちを取り囲んで一緒に話すようになり、皆あまり勉強していなかったので、彼らにとって勉強が全てを占めている、というわけではないのだと思います。ただ、一人一人に将来の夢を言わせるアクティビティをした際、多くの人が他の地方の大学に受かってここを出たい、と言っていたので、やはり現在の勉強の重要性もわかっているのでしょう。また、午後の自習時間に覗くと、カーテンを締め切ってほとんどの人が寝ていて、毎日の生活の過酷さを物語っていました。
↓生徒の机。本当に毎日どれも使うの?と聞くと使うよ!と言われました。高考の模擬問題や演習問題、単語帳などです。毎日宿題が課せられています。
勉強以外の生活環境はどうでしょうか。生徒は平日は基本的に学校の外に出ることを禁じられています。三食全て学校の食堂で給食を食べます。僕も何回か食べましたが、高校の食堂にしてはそこまで悪くはないかなという感じでした。寮は男女分かれており、男子寮の場合は16人部屋で、二段ベッドがあるだけの部屋に皆住んでいて、シャワーは冷水のみで仕切りはなく、トイレも昔の中国のものでドアはついていません。窓には網戸はついていませんが、冷房がなく暑いのでだいたい開いており、虫もたくさん入ってこれます。今回参加した大学生たちへの待遇はまだよく、蚊帳の貸し出しがあり、部屋も同じ広さですが4人一部屋でした。消灯時間になると管理人さんのような人が来て笛を鳴らし、消灯しなければなりません。よく言えば安全で勉強に集中できる環境が整っている、悪く言えば過剰に管理され自由を奪われている、と言えそうです。
↓昼ごはんの一例。お代わりもできます。中国の大学生たちはあまり美味しくないと言っていましたが、僕の口には合いました。
ということで、今回は高校の生活について書きました。思ったより書きたいことがたくさんあるのでまた次回にしましょう。では!