早坂有生のYALE

2016年にYale(イェール、エール)大学に学部生として入学した日本人、早坂有生のブログです。大学での出来事やアメリカ大学出願のことなどについて書いていきます。ご質問、ご要望、ご連絡は記事へのコメント(非公開設定です)にお願いします。

ウルトラマンのヒミツ〜日本の宗教編

ついに宗教&SFのセミナーのペーパーも提出し、中国語の期末試験も終わり、残るはAstrophysicsのpsetのみとなりました!月曜日に帰国するので、土日で終わらせて荷造りなどもする予定です。今日はスターウォーズの番外編のローグワンを観てきました。公開初日ということでほぼ満員でした。一ヶ月くらい前にスイートで見たイップマンの主役だった香港のスター俳優が出ていてかっこよかったですが、アジア人でひとくくりにされている感じもしました。二人中国人俳優が出てきますが、念仏のようにフォースと共にありと唱えたり、剣道の防具を身につけていたり、盲目の剣士で座頭市みたいだったり、アジアのちょっと不思議でアメリカ人にウケそうな要素をとりあえず入れたような印象でした。実際事あるごとにウケていたので狙いは成功していたと思いますが、もっとかっこよく描いてくれれば良いのに、、と思ってしまいました。

さて、今回は宗教&SFのペーパーのテーマにした、ウルトラマンと宗教について書きたいと思います。ウルトラマンといえば!日本人なら誰でも知ってる日本を代表するヒーローです。
ウルトラ兄弟!!今では合計40体くらいのウルトラマンがいます。
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このアンケート結果からもわかる通り、全年代から愛されています。僕がウルトラマンが好きな一番の理由は、ストーリーがただの勧善懲悪ではなく、悪いのは怪獣でも宇宙人でもなく人間である場合が多くて、人間の性や問題について深く考えさせてくれるからです。また、宇宙から地球の平和のために来たヒーローなので、自然と見る側の視点も人間対宇宙人というように、日本人ではなくこの地球に住む人間という種としてのものになります。僕の人間観や世界観の根底には、このウルトラマンの視点の甚大さがある気がします。

しかし、冷静に考えてみると、ウルトラマンはとても特徴的なヒーローです。巨大で、宇宙人で、普段は人間と一心同体となって行動して、特に理由もなく人間を守ってくれて、人間のせいで現れることの多い怪獣を人間の代わりに退治してくれます。アメリカのスーパーヒーローのほとんどは人間が変化したやつか宇宙人だが人間の顔をしているやつで、悪人や戦争や悪い宇宙人からアメリカや恋人を守るために戦うことを考えると、ウルトラマンユニークさが際立ちます。ウルトラマンがアメリカでは人気にならなかった理由もこのユニークさにある気がして来ます。

ではなぜこの特徴的なヒーローが日本では受け入れられ愛されているのか?

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YALEの授業振り返り〜1年生秋学期編その2

この前に引き続き、今学期履修した授業のまとめです。
RLST022 Religion and Science Fiction
面白さ:5
学べる量:5
大変さ:4
教授:5
履修者12人、週2回105分の授業が全25回ありました。Freshman Seminarという種類の授業で、一年生しか履修できないクラスです。(一年生が必ず取らなければならないという訳ではありません。)課題は3ページ前後のreading response 3枚と8-10ページのfinal paper1枚で、日々の予習は、週に本200-800ページくらいでした。教授がファシリテーターとなって議論を導き、学生たちが意見を言っていくスタイルでした。

基本週2回の授業で一冊のSFを扱い、授業内で宗教についてのレクチャーなどはグノーシス主義を扱った時以外は特になく、知らないことは各自調べてくる、という感じでした。扱った長編小説を時系列に列挙すると、A Case of Conscience (Blish, James), A Canticle for Leibowitz (Miller, Walter), Native Tongue (Elgin, Suzette), Dune (Herbert, Frank), The Divine Invasion (Dick, Philip), Parable of the Sower (Butler, Octavia)で、この他にもパキスタンヒンドゥー教徒が主人公の話、20世紀初頭にインドの女性作家が書いた話など、いくつか短編小説を読みました。さらに、映画を三本(宿題として)見ました。Dune (1984), Stalker (1979), Battlefield Earth (2000)です。

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Reading responseとは

今回は、授業の宿題として出る課題の一つ、reading responseについて書きたいと思います。日本語訳すると読書感想文、、となりそうですが、どのようなものなのか、何を書くのか、苦労すること、ためになること、などについて僕の感じたことを書きたいと思います。

今学期、宗教&SFのセミナーで3つのreading responseの課題が出ました。どれも約3ページ、800語くらいで、授業で扱ったSFの本から好きな本を選び、それについて書きます。本の感想を書くわけではありません。何かしら主張(thesis)を決め、それを支持する論理的な文を書きます。教授からは、宗教に何か関係あることについて書けとしか言われていなく、最初は本当に何もわかりませんでした。

Googleで調べ、reading responseは読書感想文とは違うということを知りましたが、何かしら主張を決めると言われても…という感じで、よくわかりませんでした。でも2枚目、3枚目になると、興味深く、かつ論証可能な主張を見つけられるようになったと思います。

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YALEのヒミツ〜大学院Astrophysics編

今日で今学期の授業が全て終了しました!三ヶ月以上ありましたが、振り返るととても速かったように感じます。期末テスト期間は12月16日から始まり、各クラスごと時間が決められています。僕は中国語しか期末がなく、あとはペーパー2枚とproblem set1つです!と言うと少ないように思えますが、何だかんだ結構大変だと思います。宗教&SFのペーパーはウルトラマンにおける宗教の取り入れられ方について書いています。
↓ペーパーのために借りた本たち。一度に100冊4ヶ月借りられるのは大きいです。Yaleにあるウルトラマン関連の本は現在ほぼ全て僕が所持していると思われます。
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さて、今日はAstrophysicsの今学期最後の授業があり、テーマは大学院についてでした。Astrophysicsの大学院生が受講している学生よりもたくさん来て、教授とともに大学院の様子やアプリケーションについて教えてくれたので、そのことについて書きたいと思います。授業とは関係ない話題でしたが、大学院について詳しく聞いたのは初めてだったのでとても参考になりました。僕のようにまだmajor(専攻)や将来について何もわかっていなくても、大学院に行きたくなった時何が必要なのかはできるだけ早いうちに知っておき、後々行きたいと思った時に手遅れでないようにしておくのはとても重要なことだと思いました。

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スーパーヒーローは宗教か?

最近の宗教&SFのセミナーのテーマは新宗教です。1930-1990年くらいに生まれた、特にSF小説や映画が発端の新しい宗教について、その元となった作品を読み、宗教とは何か、新宗教の特徴とは、カルトとの違いは、などについて議論しました。

授業で主に扱った宗教は、Church of All Worlds, Earthseed, Scientologyです。最初の二つは、SF小説が元になっており、小説の中で主人公が新宗教を立ち上げます。それを読んで本当に宗教にしたくなった人たちが立ち上げました。最後のサイエントロジーは、創始者が宗教観を反映させたSFを書き、信者が買ってベストセラーになりました。それが映画化された、史上最悪と言われているBattlefield Earthという作品を見ました。確かにご都合主義がすごく、色々意味不明な映画でしたが、サイエントロジーについて調べてみると色々理解できるシーンもあり面白かったです。

そして、前回の授業は、各自授業で扱わなかった新宗教を調べてきて共有しよう、というものでした。コピーアンドペーストを信仰するKopimismやシュレック(アメリカの人気キャラクター)を信仰する宗教などがあり面白かったです。その中で、僕はアメリカのスーパーヒーローが宗教になるかについて調べていきました。授業の課題図書に、スーパーヒーローと新宗教には類似点が多くあると書いてあり、興味を持ったからです。授業では、4人ずつくらいの小さな班に分かれ、その中で各自の宗教を共有し、一番面白いものを全体で発表、という形だったのですが、僕の班では皆スーパーヒーローが一番面白いと言ってくれ、班としてスーパーヒーローを発表することになったので嬉しかったです!そうと決まると、班の他の人たちがすぐにこういう考えもあるよね、と意見を言い出して、さすがだなと思いました。

ということで、アメリカのスーパーヒーローと宗教の関係について書いてみたいと思います!
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